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B787スペシャルレポート 第1回
ドリームライナー素材革命

[2007年07月号]

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複合材料以外の新規材料
チタン、アルミ、熱伝導性プラスチックのブレークスルー

出典:Cool Polymers社
W/mK:ワット毎メートル毎ケルビン
熱伝導性プラスチックは、熱伝導度が通常のプラスチックと比べて大幅に向上している

 787ドリームライナーでは、複合材料以外にも新しい材料が使われている。複合材料がドリームライナーの構造重量の50%(体積ベースでは80%)を占める一方で、アルミ材料は20%、チタンは15%、鋼鉄は10%、その他は5%を占めている。“その他”の中で最も目立つのは、航空機の構造材料として初めて大幅に採用されたプラスチック製ヒートシンクだ。そう、プラスチックでできたヒートシンクなのである。

 カーボンやセラミックなど熱を除去する機能を持った材料を多く配合したプラスチック材料は以前からあったが、航空機市場にはほとんど浸透していなかった。こうした材料は、最終的な部品形状を一度の加工で達成できることが利点になる。プラスチック部品は、金型や仕上げ加工にかかる合計コストが低ければ、経済的なメリットを生む場合がある。プラスチックであれば、対流放熱の効果を上げるためにフィンやリブなどの表面積を増やすように設計することは簡単だ。

 コストと材料特性のバランスは、使用する熱可塑性エンジニアリングプラスチック材料の種類により調節できる。例えば、ナイロンを使えば安価になり、液晶ポリマーを使えば高い材料特性を確保できる。通常これらは、熱伝導性の材料に、全体の30~40%の割合で配合される。

 熱伝導性の熱可塑性プラスチックのサプライヤには、米LNP Engineering Plastics社(GE Plastics社)、米RTP社、米Cool Polymers社、米DuPont社などがある。熱硬化性プラスチックのサプライヤには、米Epoxies, Etc社がある。

 787型機の技術統合担当ディレクターAlan G. Miller博士は、「これらの材料の熱特性と非金属としての特性を理解するにつれて、航空機から熱を除去する方法について、従来とは異なる考え方をするようになった」と言う。

強度と耐久性
  この革新的な航空機に使われている他の新しい材料としては、以下のようなものがある。

 チタン:ドリームライナーは、初めて最先端のチタン合金を多く使用した航空機となる。「チタンを使えば、非常に高い強度と耐久性を実現できる」とMiller氏は言う。チタン合金の新しいグレード5553(Ti-5Al-5V-5Mo-3Cr)は、他の高強度合金1023(Ti-10V-2Fe-3Al)を超える高い性能を持つ。Miller氏によると、ボーイング社は、ロシアのチタン業界と多くの共同作業を進めているという。モスクワ・タイムズ(Moscow Times)紙は、ボーイング社が今後30年以上に渡り、約2兆1,900億円(180億ドル)分のチタンをロシアから購入すると確約したことを報道している。昨年8月、ボーイングは、ロシアVSMPO-AVISMA社と50対50の出資比率で合弁会社を設立し、粗い機械加工を施したチタン鍛造品をドリームライナー用に製造することを発表した(http://rbi.ims.ca/5393-603)。もちろんこれには、政治的な思惑も絡んでいる。ボーイングとしてはロシアでの販売拡大を望んでいるし、ロシア側はボーイングによる航空機関連産業への投資に期待している。チタンの典型的な用途はエンジン関連であり、ローター、コンプレッサブレード、油圧システム部品、ならびにナセルなどがある。またボーイング社は、米Alcoa社のチタン合金製高圧油圧アダプターの採用を決定しており、従来の設計と比べて最大49%の重量削減が可能になるという。この部品は、航空機1機につき120個以上使われる予定である。

 アルミニウム: アルミ-リチウム合金を使った板材の押出成形に新たな技術が登場しており、ボーイング社のMiller氏は注目している。アルミ-リチウム合金は、密度が小さいにも関わらず、その他の多くのアルミ合金よりも高強度で弾性係数も高いため、重量削減に役立つことはよく知られている。「考えたのは、設計に十分な注意を払うことにより、コストを合理的なレベルにとどめつつこの合金を使えるということである。技術が新しいからではなく、ビジネスとして有効な提案だからこそ採用することができる。航空機への導入を進めるには、納得できる経済的な根拠が必要だ」とMiller氏は言う。




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