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AUTOMOTIVE

注目を集める環境対応自動車

[2007年07月号]

人とくるまのテクノロジー展2007に見る自動車技術


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本田技研工業のFCXコンセプト。燃料電池セルの小型化などで05年モデルよりもはるかに洗練されたデザインとなった


 原油高騰や地球温暖化に対する意識の高まりにより、ガソリンを消費し二酸化炭素を大量に排出する自動車には環境対応技術の開発が厳しく求められている。5月下旬に開催された「人とくるまのテクノロジー展2007」でも、二酸化炭素排出削減、燃費向上につながる環境対応技術が注目を集めた。


燃料電池車と電気自動車
 目を惹いたのは自動車メーカーが展示した次世代コンセプトカーである。本田技研工業は、2008年から販売する燃料電池車「FCXコンセプト」の走行可能モデルをブース中央に配置した。現在毎月80万円でリース販売しているワゴンタイプの05年モデルと違って、一般セダン並みの車高と広い車室を実現した。燃料電池スタック、モーター、リチウムイオン電池などパワープラントを容積比で40%削減したことで設計の自由度が増した。「特に床下全体に敷きつめていた燃料電池をセンタートンネルに集約できたことが大きい」(ホンダ)という。

 富士重工業と三菱自動車は、電力会社との共同研究を進めている電気自動車を展示した。富士重工業の「R1e」は、07年から東京電力に3000台を納入する計画があるなど、ほぼ完成された製品である。最高速120km、1回充電の航続距離80kmなどの性能については「シティコミュータとしては十分な性能」(富士重工業)という。NECから供給を受けているリチウムイオン電池については、従来の2倍以上のエネルギー密度を持つナノバナジウム正極材料の独自研究を進めている。07年に材料開発レベルでの検証を終え、遅くとも15年には実車に搭載できるようにする方針。一方、三菱自動車の「i MiEV(アイ・ミーブ)」は、07年秋から実証走行を行う段階だが、すでにGSユアサとリチウムイオン電池量産での協業に乗り出すなど、将来を見据えた布石も打っている。

LS600hの要素技術

デンソーのハイブリッド用高出力インバータ

現在正式に販売している自動車で技術的に最も注目されているのは、トヨタ自動車のハイブリッド・レクサス「LS 600h」だろう。その要素技術はトヨタ系列のTier1をはじめサプライヤ企業で数多く展示されていた。

 デンソーは、LS600hに採用されたハイブリッド車用の高出力インバータを展示した。従来パワーモジュールは平置きにして片面からのみ冷却していたが、縦置き構造のモジュールにする共に両面から冷却することで冷却効率が大幅に向上。出力密度は従来比1.6倍となった。「容積では約30%削減できる。次の目標は50%削減」(デンソー)という。他にも白色LED照明を使ったTFT液晶ディスプレイ付メーター、歩行者検知のためのステレオ画像処理ECUなど、LS460にも採用されている技術を展示した。

 豊田自動織機の電動パワステ用DC-DCコンバータは、LS460向けは昇圧タイプだが、LS600h向けはニッケル水素電池の大電圧を降圧するタイプ。走行安定のための「アクティブスタビライザー」への電力供給機能なども備えており、LS460向けに比べて大出力化と共に2倍以上の大型となっている。他にも開発品として、DC-ACインバータ技術を応用したプラグインハイブリッド用の充電ユニットも展示した。


アイシン精機のインテリジェントヘッドレストの内部構造。フィルム状の静電容量センサーが頭の位置を検知する

  小糸製作所は、世界で初めて実用化した白色LEDヘッドランプを展示した。寿命は1万時間で、通常のヘッドランプの1,500時間、ディスチャージランプの2,000時間を大きく上回る。LS600hではLEDを5個使用しているが「ディスチャージランプ並みの明るさであれば2~3個で十分。コスト的にはまだ厳しいが、将来的には非高級車への採用は十分可能だ」(小糸製作所)という。

 アイシン精機は、LS460から採用ししている追突時のむち打ちを軽減するインテリジェントヘッドレストの内部構造を公開した。追突時にヘッドレストを前方に出すことで首への衝撃を小さくするシステムだが、ヘッドレスト内の静電容量センサーにより頭部の位置を検知することで最適な動作を実現している。

HILSテストシステム

 これら自動車技術の開発には各種の試験装置が不可欠だが、電子化の進展により電子計測器の役割が拡大している。そして今最も市場拡大が著しいのが、ECUを制御対象と接続せずバーチャルに試験を行うHILS(Hardware-in-the-Loop Simulation)テストシステムである。HILSシステムの世界トップは、パワートレイン、車両ダイナミクス用などの自動車用シミュレーションモデル(ASM)を組み合わせて試験を行う「dSPACEシミュレータ」を展開する独dSPACE社である。

 対抗する独ETAS社は、パワートレイン用HILSシステム「PT-LABCAR」を展示した。07年初に市場投入した製品で、同社としては用途を特化したHILSシステムは初めて。基本構成では、ガソリンエンジン(最大8気筒)とディーゼルエンジン(最大12気筒)のHILS試験に対応する。価格は約800万円。

 日本ナショナルインスツルメンツは、開発プラットフォーム「LabVIEW」とテストモジュール「PXI」を組み合わせた低コストHILSシステムに関するコーナー展示を行った。BMWの水素エンジン用で採用された独MicroNova社や、デンソー向けに汎用テストベンチを開発したペリテックの事例を紹介した。

(朴 尚洙)


独ETAS社のパワートレイン用HILSシステムPT-LABCAR。海外ではすでに20台以上の出荷実績がある。国内展開はこれから


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