設計情報の見える化と3次元図面

第7回 3次元設計の課題に答える

[2007年07月号]

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CADの機能要件
 ②では、3次元空間で製品特性を入力・表現するCADの機能の開発を求めている。元々、それぞれの3次元CADは3次元注釈と称する入力・表現機能を以前から持っているが、これをしっかりと充実させ、必要な寸法、公差、幾何特性情報等を網羅して入力・表現できるものにしなくてはならない。もちろん、その入力・編集操作の合理性、視認の利便性なども十分に配慮されなければならない。この点は重要な要素であり、別の機会に話題としたい。

リッチマスターモデル

  ③では、システムが扱う3次元モデルは、従来の製品形状のみを表すモデルではなく、寸法情報などの製品特性も併せ持つ一元化された3次元モデル、いわゆるリッチマスターモデルを求めている。従来の3次元モデルは、目に見える情報としては画面に投影表現される立体形状のイメージのみであったが、ここで要求されるリッチマスターモデルは、製品形状に加えて、設計で意図された情報である「製品特性」を持ち、これを誰でも、いつでも、必要なだけ参照できるように「見える化」されたモデルである。図1の中に、これらに対応したCoCreate社の3DCAD OneSpace Modelingのリッチマスターモデルの例を示す。


図2 設計情報を3次元で伝達できる媒体の準備


設計情報を3次元で伝達できる 媒体の準備
  以上の①、②、③の課題への対応によって、品名や品番などのテキスト主体の管理情報以外の大半の設計情報はリッチマスターモデルに集約できることとなる。

  したがって、二つ目の大きな課題は、「設計情報を3次元で伝達できる媒体を準備する」ことであり、この媒体によって設計情報をいつでも何処でも閲覧できることを求めている。このことは、従来の2次元図面と同等以上の利便性を持つことを意味する。

  「設計情報を3次元で伝達できる媒体」の代表例は、3次元CADそのものであるが、この場合、ソフトウエアに費用がかかる、扱うデータが重いために比較的高性能なコンピュータが必要、操作には習熟を要するなどの点から、残念ながら「いつでも何処でも閲覧可能」な手段にはならない。この観点で実現の可能性をもつのが、3次元モデルを扱える3Dビューワである。一般的に3Dビューワは3次元CADデータをビューワ用の軽いデータに変換して扱うので、高性能なコンピュータを必要とはしない。そして操作性も閲覧を主体とする簡易なものである。

  もちろん、3次元図面に対応させる3Dビューワは、すべての設計情報を必要に応じて漏れなく表示可能であり、且つ、多くの種類のCADデータに対応したもので、その入手は利用者の費用負担を最低限に押さえて、利用の普及を図る必要がある。

  日本自動車工業会(JAMA)等の3D図面標準化ワーキンググループで進めている3Dモデル活用の検討においても、ビューワを重要な位置付けに捉えて、ビューワが備えるべき要件機能の抽出とその実現のための活動を、DEV(Digital Engineering Visualization)ガイドラインV1.0にまとめ、下記ウェブに公開している。

  図2に3Dビューワへの対応例としてOneSpace ModelingのCADデータをPDFコンバータでPDFファイルへ変換し、無償のAdobe Readerで閲覧可能にした例を示す。

  次回は、3次元図面におけるビューワの役割について考える。

・JAMA/JAPIAのDEVガイドライン


成沢良幸
ナリサワ ヨシユキ 1954年東京生まれ。東京航空高専機械工学科卒、1974年リオン株式会社入社。世界初の防水補聴器の開発など補聴器の研究開発に携わり、1989年補聴器の小型高密度化のため設計の3次元化を推進。その後国内製造業各社の3次元CAD導入推進をサポート。現在同社技術統括部聴能技術部部長を務める。

●著者連絡先
yosiyuki@rion.co.jp


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