チューブが煩わしい点滴や、大粒の錠剤を飲み込む苦労は遠い昔の話になりそうだ。週末の小旅行の荷物に薬を入れ忘れないように気遣ったり、知らないうちに処方が切れる心配をする必要もなくなるだろう。
それは米Isis Biopolymer社の開発による。完全にプログラムでき、非侵襲(生体を傷つけない)で、アレルギー誘発性が低く、防水の“Band-Aidのような”パッチを貼るだけで、7日分の投薬の準備が完了すると、同社の商品開発ディレクターMichael K.Jordan 氏は言う。
同社が特許権を所有するパッチ(http://rbi.ims.ca/5702-545)は、ホルモンやニコチンを投与する他の経皮パッチと同様だが、はるかに進歩している。「『The Isis Patch』は一人一人の患者に向けた設定をすることができる」と同氏は言う。「その結果、医者は従来は不可能だったレベルで、個々の患者に固有のプログラムを組むことができる」
このパッチは約0.05mm(0.002インチ)の薄い、1枚の柔軟なポリエステル基材上に形成されている。他の経皮パッチとは受動的ではなく能動的である点が異なる。受動パッチは薬剤を予め充填してあり、皮膚との接触で投与される。一方、同社のパッチは3種類の異なる薬剤を充填し、医者が投与をコントロールすることができる。
「このパッチには知能がある」と同氏は言う。ある日薬を飲み忘れ、次の日に2日分の薬を飲んでしまうような高齢者に特に適していると同氏は語る。このような薬の飲み方は危険であり、時には死にもつながる。「このパッチを使えば薬剤は自動的に投与され、必要な一定の血中濃度を保つことができる」(同氏)。
1処方の充填だけでなく、数個のパッチを同時に用意することができると同氏は言う。7日後に着けていたパッチを処分して、必要ならば新しいパッチを着ければ良い。「患者は通常の動作や普通の生活スタイルを続けることができる。何の支障もない」
同氏によれば、この種のパッチは初めてで、薄く、柔軟で、従来の点滴のようなチューブがない。
米Vyteris 社のActive Transdermal System(http://rbi.ims.ca/5702-546)や米Alza 社のE-Trans(http://rbi.ims.ca/5702-547)のようなチューブレスのパッチと機能は同じだが、それらはずっと厚く、プラスチック・ケースに入っている。
「我々が開発している製品と技術は似ているが、それらには柔軟性がない。身体に全くフィットしない」と同氏は語る。
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貼る薬剤投与、チューブレスの点滴実現
[2008年04月号]
薄く、柔軟な米 Isis Biopolymer社の経皮パッチに薬剤を充填することで、医者は投薬量を制御で きる
The Isis Patch はこの種の他のパッチとは異なり、Band-Aid のように薄く、柔軟である
患者がプラスチック・ケースに入った装置を着けるとは考えられないというのが同氏の考えである。「今日、使い心地や使いやすさがすべてだ」
「Isis 社のパッチは投薬の方法に大変革をもたらす可能性もある。患者、医者、そして医療産業のすべてにメリットがありそうだ」と同氏は言う。
同パッチは、RFID アンテナと、日付や時間、投与する薬剤の量を電子的に記憶するチップなどからなる。独自開発したソフトウエアベースの患者ケア管理システムによって、医療の専門家が、安全かつ有効な投薬処方と管理、監視を行なうことが可能になる。
以前にも柔軟性のある同様のフリーサイズのチューブレスパッチがあったが、薬剤の投与を制御することは全くできなかった。
同パッチは、マイクロプロセッサと薄膜電池、バイオポリマー、ポリマー厚膜PTF(polymer thick film)技術を使用している。イオン導入と呼ばれる非侵襲手法で薬剤が投与される。これは、充填してある帯電した高濃度の薬剤を起電力による反発力を利用して経皮注入する手法である。小さな電圧をイオン導入チャンバーにかける。このチャンバーには同様に帯電した薬剤と水性ゲル材が入っている。薬剤イオンは、プラスかマイナスに帯電した粒子であり、電極付近の同一の電荷によって皮膚内に抽入される。
Jordan 氏は、このパッチの電気工学的フィルムについては米Design Net Technical Products 社(http://rbi.ims.ca/5702-548)と密接な共同開発を行なったと言う。
本誌からの質問に対しDesign Net社役員からの返答は戻ってきていない。同社のウェブサイトによれば、同社は「クライアントの商品開発部門のシームレスな延長として機能するよう努めている。可能な限り成果物が共通のデータフォーマット(AutoCad、SDRC、PADS、OrCAD など)を持つよう共通の設計ツールを使用してこれを実現している」という。
Jordan 氏は、このパッチは錠剤よりもコスト効率が良い可能性があると言う。薬剤が液体の形で供給されるからである。このパッチは現在開発中で、2009年8月までには米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)の認可が下りる見込みである。
(Jennifer Roy、コントリビューティング・エディター)
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