主要なシステム製作のパートナー企業として、すでにエンジン供給をはじめ、6 社の名前が公表されている。
エンジンは、Pratt & Whitney 社の新型GTF(geared turbofan)エンジンの採用を決定。GTF は、エンジンの羽根を低圧コンプレッサーやタービンとは独立して制御できるのが特長で、燃費効率が高く、羽根の回転が遅く騒音を大幅に低減できるといわれる。業界筋によれば、同エンジンは性能面では従来型エンジンと比較して12%以上燃料効率が高いが、リージョナル・ジェット機で最も採用が多いGeneral Electric 社製CF34 と比較すると、信頼性と実績面ではまだこれから、という課題を抱えている。このため、同エンジン周りの機体設計を含めて、モノづくり技術の結集によって新型高性能エンジンを積んだ新型ジェット機がどこまで安定性能を引き出せるかが、世界の航空業界の注目を集めそうだ。
MRJ の製造には、油圧システムで米Parker Aerospace 社が、また電源、空調、補助動力(APU)、燃料タンク防爆、高揚力装置、防火の各システムには、航空機用制御機器最大手の米Hamilton Sundstrand 社が参画する。
他方、フライト制御システムには、航空電子機器大手の米Rockwell Collins社と、ナブテスコ(東京都港区)、降着システムには住友精密工業(兵庫県尼崎市)を選定した。
現在は概念設計の段階ながら、先にBoeing 787 Dreamlinerで採用されたカーボン・コンポジット材を主翼、尾翼に本格採用する構想も進んでいる。
また快適な客室内装にも幹線機並みの快適性を追求し、客座席の厚みを薄くして足・ひざ回りスペースを確保、広いヘッド空間と大型のオーバーヘッド・ビン(収納)、バリアフリーラバトリーなどを計画している。内装にも多数の日系企業の参画が見込まれる。
MHI は、今後20 年間の60 .99 席クラスのリージョナルジェット機の需要を5,000 機以上と予測し、その20%シェアを狙うが、航空業界での受注合戦は厳しい。先行するカナダのBombardier CRJ、ブラジル Embraer E-Jetに加えて、中国のAVIC ICommercial Aircraft ARJ21やロシア Sukhoi Superjet 100がシェア獲得戦に加わっている。
MHI 広報では「世界の航空会社100 社あまりに提案し、かなりの好感触を得ている」と語るが、航空業界専門誌FLIGHT International 誌は、ベトナム航空20 機をはじめアジア圏の航空会社からどれほど受注できるかが鍵と予測している。
(甲斐真一郎)
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AEROSPACE
三菱重工業、初の国産ジェット旅客機 MRJを事業化
[2008年05月号]
MRJのフライト予想図
提供:三菱航空機
この新会社は、MRJ の設計と、型式証明取得、調達、販売、カスタマサポートなどを事業とする。また、MRJ の試作・製造、飛行試験はMHI 名古屋航空宇宙システム製作所(名古屋市港区)が受託する。本社を同製作所内に置き、従業員数は当初200 人強でスタート。資本金は当面MHI 全額出資の30 億円だが、事業の本格化にともない、1,000 億円に増資する計画をもつ。このうち3 分の2 をMHI が出資し、3 分の1はトヨタ自動車、三菱商事、三井物産、住友商事、日本政策投資銀行などに出資検討を要請している。
MHI はこれまで、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として、世界最高レベルの運航経済性と、客室快適性を兼ね備えた70.90 席クラスの最新鋭小型ジェット旅客機を目指してMRJ の開発を進めてきた。
現在、機種としては設計航続距離が1,630-3,330km、86-96 席のMRJ90 と、航続距離が1,700-3,630km、70-80 席のMRJ70 の2 ラインを構想。航続距離では、日本の羽田から沖縄や上海、欧州ではパリからワルシャワ、米国ではシカゴからロサンゼルスなどの中距離をカバーする。ANA からの受注25 機(うちオプション10 機)はMRJ90 が対象機種となっている。
提供:三菱重工業
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